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政治

総務省、避難所に『同行端末枠』 アンドロイド普及で災害備蓄見直し

食料・寝具だけでなく充電、保守部材を標準化 自治体調達に新市場
2045年4月13日 5:00

総務省は12日、自治体向けの新たな防災運営指針案を公表し、指定避難所で住民が持ち込む見守り端末や家庭用アンドロイド、携行型医療支援機器を「同行端末」として受け入れる標準枠を設ける方針を示した。避難所の整備基準を食料、飲料水、簡易寝具中心から改め、充電能力、通信遮断時の閉域接続、交換部材の備蓄を含む設計に広げる。2026年改定の避難所運営ガイドライン以来の大幅見直しとなる。

背景には、要介護高齢者や独居世帯で端末依存が深まったことがある。内閣府防災担当によると、2044年度の広域避難訓練で、避難者の31%が常時使用する同行端末を持参し、このうち11%は服薬管理、歩行補助、意思疎通支援のいずれかを生活維持の前提としていた。外国人住民では翻訳・行政案内端末の持参比率が42%に達した。従来の避難所では電源口不足や私物端末の保管責任が曖昧で、受け入れを断る例も目立っていた。

指針案は、避難者100人当たり最低18キロワット時の非常用蓄電容量、端末保管用の施錠棚、汎用バッテリー変換器、車輪脚や把持アーム向けの消耗部材を標準備蓄品に加える内容だ。介護・医療用途が混在するため、厚生労働省と経済産業省が共同で安全区分を3段階に整理する。都道府県が広域で保守部材を共同調達し、政令市は避難所ごとに『同行端末受入率』を公表する案も盛り込んだ。

自治体財政への影響は小さくない。総務省は全国約4万9000カ所の指定避難所のうち、先行して2万カ所を改修対象と想定し、初期投資を総額6200億円と試算する。もっとも、自治体側には別の計算もある。神戸市は2043年から一部避難所で端末電源と簡易保守区画を整えた結果、要配慮者の二次移送件数が31%減った。福岡市でも通訳人員の臨時配置を2割抑えられたという。

企業の商機も広がる。パナソニック コネクト、アイリス防災ソリューションズ、オムロンヘルスケアは、平時は公民館設備として使い、災害時に避難所仕様へ切り替える蓄電・認証一体型ラックの共同仕様づくりに入った。部材市場ではミスミグループ本社やモノタロウが汎用交換部品の防災向けカタログを拡充する。従来は毛布や簡易トイレ中心だった防災調達が、保守性と互換性を競う電子機器調達へ重心を移しつつある。

論点は公平性だ。端末を持つ避難者向けの電力や空間を厚くすれば、持たない住民との資源配分が問題になる。野党の立憲国民党は『私的機器の公費支援が先行している』と批判する一方、与党内では高齢就労や在宅介護の維持に必要な社会基盤との見方が強い。総務省は、同行端末枠をぜいたく品支援ではなく『生活機能の継続支援』と位置づけ、今夏の防災基本計画改定に反映させる考えだ。